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2024年6月25日 イベントお知らせ森林と社会と暮らし

【実施レポート】2024年5月26日(日)「森林環境税」は森と人とをつなぐことができるのか?

【実施レポート】2024.5.26(日)オンライン配信
「森林環境税」は森と人とをつなぐ
ことができるのか?

※本イベントの出演者・企画詳細はこちらをご参照ください

2024年度4月から、森林整備などを目的とした「森林環境税」1人年額1,000円の徴収が、市町村において個人住民税均等割りと併せて始まりました。その税収はまず「森林環境譲与税」として全額が国に収められます。その後、私有林人工林面積、林業就業者数と人口率によって按分され「森林環境譲与税」として都道府県・市町村に対し、配分されます。

 講座では、はじめに森づくり市民団体の視点から、森林フォーラム事務局長の宮本より森林環境税の現状について紹介しました。導入の背景には私有人工林の管理、人材不足、気候変動対策などがあって、森林環境税がその対策の財源に充てられるわけです。自治体への配分基準、公表を義務付けられている譲与税の使途、さらに、地域住民や国民の声・意見が届きにくい構造の制度などについて議論が起きていること、納税者に森林整備への理解をどう深めてもらうかなどの課題があげられました。

 続いて、実際の取組の話題提供ということで、3名の方にそれぞれの取り組みの経緯と成果、ならびに課題や展望を語っていただきました。

 後藤洋一さん(NPO法人 樹木・環境ネットワーク協会 事務局長)は、NPOの里山や緑地の整備保全活動を通して、人と自然が調和する持続可能な社会をめざした取り組み、さらに、伐採した木でSDGSピンバッジや木製品の製作などに森林環境譲与税を活用した実例を話していただきました。

 松浦成夫さん(認定NPO法人 時ノ寿の森クラブ 理事長)は、静岡県掛川市の廃村跡再生の取り組みを続ける一方、子どもたちに自然体験の機会作りをされてきた話、森の持続可能な保全管理、豊かな森林を未来の子どもたちに引き継ぐためのプラットホーム作りと、森林環境税の理念の話などをいただきました。

 井上有加さん(株式会社井上建築取締役/林業女子会@高知代表)は、令和5年度に完成された「高知県安芸市の地域森林ビジョン」にみる森づくり構想と、安芸市における森林環境譲与税の使途や市民参加とその意義について話していただきました。安芸市では森林環境譲与税は市民にとって、市町村の地域の森づくりを自分たちで考えるきっかけとなったということでした。

 森林の恩恵を受けていない人はいないという認識のもとで、森林がないところの人も関係人口となるなどして、森林保全と活用に関心を持ち続けられるような長期的視野に立ったプロセスの確立を望むのは、登壇者の一致する意見でした。

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