「森とともに暮らす社会」の創出をめざして
日本の国土面積3,779万haのうち森林面積は2,508万haです。つまり日本列島の約3分の2は森林で覆われています。降雨量が多く、火山活動も活発な日本の国土条件において、森林は土砂流出を防止し、水源を涵養し、大気を保全し、そして多くの野生鳥獣の生息の場でもあります。また木材や山菜などの生産物という形で、直接的にも人々の生活にかかわっています。
森林に覆われた列島(しま)で暮らすわたしたちが、森林という大きな命の集合体を尊び、継続的に守り育てていくことは、森に育まれた文明の継承という意味においても、また日本国土のライフラインを守るという目的においても大変重要なテーマです。
森林保全の市民的ムーブメント「市民参加の森づくり」
しかし、戦後以降、森林が多く存在する中山間部・山村地域では、都市部へ人口が流出し、過疎化が急激に進みました。1970年代以降にはじまる輸入木材との競争激化の影響も大きく、森林・林業の担い手不足は切実となります。植えられた木々は適切な管理がなされず、森林を育て次世代へと受け継ぐ様々な技術は失われ、その結果、森林の質そのものが低下していく事態となりました。
そのような森林が荒廃してゆく危機感から、1970年代より自主的に活動をスタートし、森林保全に関わる市民活動がムーブメントとなり、全国各地に拡がっていったのが「市民参加の森づくり」です。
NPO法人格を2000年に取得した「森づくりフォーラム」は、こうした各地の市民参加による森づくり活動をネットワークでつなぐ実践的な組織として生まれました。
「市民参加の森づくり」活動をネットワーキング・サポート
中山間地域の人手不足を補うべく市民運動としてはじまった「市民参加の森づくり」は、さまざまな問題・課題に直面しながらも、多様な団体や企業を巻き込んで、それぞれの地域における森づくり活動を根付かせていきます。
「森づくりフォーラム」は、そうした森づくり活動を行う団体とのネットワーキングを展開し、各地域で市民参加型の森づくりを行う市民団体・企業・自治体などの活動をサポートしてきました。わたしたちは、各地域での活動サポートや都市市民への情報発信・啓蒙活動を通じて、「森とともに暮らす社会」の創出をめざしています。
近年の社会的関心の高まりを背景に、森との関わり方も多様になってきました。木育・森林での環境教育、山村移住・田舎暮らし、企業の社会的貢献・SDGs、ソーシャルビジネス、自伐型林業や半林半Xなど、ボランティアベースでの森づくりという形以外にも、森との関わり方、そして森と共とともに暮らすライフスタイルは多様化しています。
わたしたちは、森に関わるさまざまな人々のネットワークの交差点でありたいと思っています。刻一刻と社会的・経済的環境が変容していく中で、森を守り育てていくためには、何より“人”の力が必要だからです。
「森づくりフォーラム」は全国各地で森を守り育てる人びとが集い、学び、想いを交す拠点となって、その出会いや学びの場、情報発信を支援してゆきます。
「森とともに暮らす」豊かさを未来へ。