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2019年9月4日 お知らせグリーンボランティア保険

安全な森づくり活動のために<事故事例に学ぶ>『伐採作業における事故(1)』

安全な森づくり活動のために
<事故事例に学ぶ> 
『伐採作業における事故(1)』

大ケガにつながる伐採での作業

毎年、林業労働者や自伐林家、森林ボランティア等による伐採作業での
死亡事故が報告されています。
伐倒した木が予定した方向に倒れず、倒した材の下敷きになった事例が多いようです。
伐採作業はそれだけ危険を伴う作業であることを自覚し、
安全に作業することを心がける必要があります。

事故の約3分の1は伐採作業中の事故

以下に、グリーンボランティア保険で保険金支払の対象となった事故が、どのような活動の際に起きているかの表を示します。対象は2008~2013年の間の事故です。

作業の
種類

作業中

移動中

その他

合計

植林

下刈・藪払い

伐採

搬出

その他

事故件数

3

67

71

21

27

14

23

226

割合(%)

1.3

29.6

31.4

9.3

11.9

6.2

10.2

 

伐採作業における事故の分類

下記はどんな作業中に事故が起きたのかを件数でまとめたもので、
2010~14年度の5年間における傾向です。
内、人工林・広葉樹林での事故が77.6%、竹林での事故が22.4%です。
近年、竹林作業での事故が増えていますが、これについては改めて紹介します。
今回は、人工林・広葉樹林での伐採作業での計38件の事故に限定して紹介します。
事故の類型別では以下のようになります。
 ・伐倒方向の狂い  8件(うち4件は器物損壊事故)
 ・かかり木処理   6件
 ・チェーンソーによるケガ 6件
 ・枝の落下     4件
 ・藪払い      3件
 ・伐倒木の玉切り  3件
 ・枝落し      2件
 ・伐倒時の避難行動 2件
 ・その他      4件

伐倒方向のズレによる事故

伐木作業における傷害4件と器物損壊(賠償責任)4件です。
うち1件は、伐倒した木の下敷きとなった死亡事故です。
他は、
「間伐作業中に、伐採木が予定方向よりずれて倒れ、
 ロープ引手の右腕に当たり打撲傷」
「滑車とチルホールを使用して伐倒作業の際に、予定方向に倒れずチルホール方向に
 倒れて、チルホール操作者の足が伐木と地面に挟まれ骨折」
「伐倒木が駐車中の自動車に当たり、車が大破」
などです。

ロープ引手の位置などの初歩的事項が守られているか確認が必要ですが、
近年はボランティアが大径木の伐採まで行っている傾向もあることから、
これまで以上の細心の注意が求められているでしょう。
林業事業体でも大径木伐採は熟練作業員に限定しているともいわれ、
アマチュアは大径木伐採に手を出すべきではないとの声も聞かれます。
その位、安全に作業する知識と技術が要求される作業であることを
自覚する必要があるでしょう。

伐倒方向にズレが生じる原因はいくつか考えられます。

  • ツルの残し方が基本どおりにできてない。
    特に、受け口を作る際の水平方向の刃がツルの部分まで食い込むと、
    ツルが機能しません。
  • 追い口の切り過ぎ。ツルが機能せず木は重心方向に倒れていきます。
    太くて重い木なら、倒れる方向のコントロールは困難です。
  • 木の重さに対する甘さ。
    特に、重量のある木の伐倒方向は手で引っ張るロープでは
    コントロールできません。
  • 広葉樹大径木の重心と重量の認識。
    広葉樹は横枝が張り、重心が木の中心を外れて偏っているのが一般的です。
    また、とんでもない重さです。
    伐採する時のツルの残し方とチルホール等の引っ張り加減により、
    ツルが機能せずに思わぬ方向に倒れるかもしれません。

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