森づくりフォーラム・ニュース

2019年3月8日 イベントお知らせ森林と社会と暮らし

【実施報告】どうする?どうなる?これからの森づくり 2019【シンポジウム】

【実施報告】2019.2.2(土)
どうする?どうなる?これからの森づくり
2019
@文京シビックセンター スカイホール

 NPO法人森づくりフォーラムは、林野庁補助事業として2018年に「H30年森林づくり活動の実態調査」を実施しました。調査対象団体数は、約4,000団体近くある中、森づくり団体の多くが参加者集めの困難さ等を理由に、自身の活動持続性について課題を感じていることも本調査回答で見受けられております。

 本シンポジウムでは実態調査結果の速報と、これからのモデルとなるような森づくり団体からの発表を通じて、市民・地域住民が主体となる森づくり活動のこれからの展開を議論する場として開催し、当日は80名が参加しました。

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「H30森づくり活動実態調査」の集計結果の速報

 開会後、2018年に森づくりフォーラムが実施した「森林づくり活動についての実態調査」に関する説明がありました。森林づくり活動とは何か、どのような歴史的背景からスタートしたのか、調査の対象となる活動はどのようなものになるのか、といったことについて事務局より発表されました。その後、本調査の検討委員である富井久義さんより、調査結果の速報という形で約25分ほどのプレゼンテーションがありました。集計の結果から見える森林づくり活動の全体的な傾向や推移、各団体の活動内容の多様化、スケール、抱えている課題等に関してご発表いただきました。

実態調査結果の速報を行った検討委員の富井久義さん

 富井さんの発表を受けて、他検討委員3名(井上真理子さん、原島幹典さん、松村正治さん)の皆さんからも各5分程のコメントを発表いただきました。2015年に実施した実態調査から継続的にご協力いただいた委員からは、この3年における森林づくりの変化と内容の多様化の広がりについて、またそうした変化を受けて、これからの森林づくり活動の推進していくにあたっての指針や助言についてコメントいただきました。

これからの森づくりモデル団体による事例発表
 「H30年森林づくり活動の実態調査」では、全国各地で活動する団体が今感じていること、課題点、これからの活動への要望などを伺っており、各団体が活動に参加する人の人集めや、活動を維持・継続的に実施していくためにどうすればよいか、といった部分で特に課題を感じていることを把握しました。
 そこで本シンポジウムの後半では、こうした課題解決に向けたモデルとなる活動に取り組む3団体をお招きして、事例発表としてご登壇いただきました。

東京チェンソーズ代表の青木亮輔さん

  事例発表のトップバッターは株式会社 東京チェンソーズ 代表取締役の青木亮輔さん。
東京チェンソーズは林業事業体として森林整備事業を行いながら、「東京美林倶楽部」や「森デリバリー」といった活動を通じて、広く一般市民を巻き込んだ森林づくりの活動と、より森林に親しむ機会提供・普及啓発に取り組まれています。青木さんからはご活動の内容や、そうした様々な活動の背景にあるビジョン、そして今後の展開についてお話いただきました。

西多摩マウンテンバイク友の会 副会長の黒川優樹さん

 続いては西多摩マウンテンバイク友の会 副会長の黒川優樹さん。西多摩マウンテンバイク友の会は、MTBの愛好家たちがMTBを楽しむことと合わせて、自分たちが走る道や、フィールドを整備したいという思いからスタートしました。黒川さんからは、あきる野市と連携した里山保全の活動から、地元の地域づくりや地域貢献活動への展開、そして大人から子供までスポーツを楽しむ場とで行う森づくり活動等についてご紹介いただきました。

認定NPO法人しずおか環境教育研究会 事務局長の山本由加さん

 事例発表の最後は、認定NPO法人しずおか環境教育研究会(エコエデュ)事務局長の山本由加さん。エコエデュは環境教育事業を通じて、遊び、学び、考え、行動し、変化する人材を育てていくことを目的に、森のようちえんをはじめとした、様々な森林を活用したプログラムを実施しています。山本さんからはエコエデュの実施する29事業のご紹介いただき、「笑顔で挑戦し続ける社会」の実現をめざすための具体的な事務局運営の方法や姿勢についてもお話いただきました。

パネルディスカッション
 3団体からの事例発表後にパネルディスカッションを行いました。進行コーディネーターは認定NPO法人JUON(樹恩)NETWORK 事務局長の鹿住貴之さん。パネルディスカッションでは、まず各団体からの発表を受けて、実態調査検討委員の皆さんより講評をいただきました。
 その後、参加者の皆さんからいただいた各団体への質問に回答していただきました。またコーディネーターからは、「森林ボランティア/森林づくり活動をどう思うか」「どんな人たちがボランティアとして関わっているか」「どのように森づくり活動への参加を呼びかけるか」といった質問も各団体に問いかけられました。最後に、事例発表者の3方から今後の意気込みをそれぞれコメントしていただき、閉会となりました。

パネルディスカッションの様子

参加者からのアンケート結果
 当シンポジウム参加者の皆さんからは、アンケート回答で多くのご感想・ご意見をいただきました。下記に一部回答をご紹介したいと思います。
 【参加者のお住まい地域】
福島県、茨城県、石川県、千葉県、埼玉県、東京都、神奈川県、長野県、岐阜県、兵庫県、静岡県
【今回の講座について感じたこと】
・地域貢献のつもりで森林ボランティアをはじめたが、周囲団体メンバーの高齢化
 等々、単なる労務提供だけではいずれ行き詰まると感じていましたので、とても
 参考になりました。
・3件とも、森づくり以外の事業の事例が大変おもしろかった。森づくりだけでは
 やはりまわし続けられないかもしれない。
・私は実際に森づくり活動に参加をしているのですが、あらためて森づくりに
 ついて理解を深められたのでよかったです!
・森に何らかの形で関わる3つの団体の、若い3人の方の元気な、未来にポジティブ
 な話を聞けたことが良かった。楽しかった。座長の鹿住さんのコメントもたいへ
 ん示唆にとんでいてよかったと思います。
・再エネ事業者の立場ではありますが、地域主導、市民連携の事業を作っていく
 上で、体験や教育、付加価値商品は不可欠と思っており、とても参考になりま
 した。
・知らなかった森づくりの歴史や現状のことを知るとても良い機会をいただき
 ました。登壇者の方からぐっとくる言葉をきき、森の可能性を強く感じました。
 今年からボランティア参加したいと思います。
・森づくりは人づくり!!すばらしいです。
・地域ごとの暮らしにどれだけ森林関係の仕事(広義で)が残っているのか。
 今回の延長で地域性と新しいスタイルとのマッチングなどについても掘り
 下げてみたい。
・ボランティア活動からビジネス?副収入等へ、将来的に持続していけるモデル、
 活動について事例があれば知りたい。
・山本さんの「もっと言語化を」というのが非常に心に残った。
・森林づくりの話だけでなくそれに関わる企業やNPOの実践例を聞くことができ
 てよかった。
・三者三様の取り組みを聞き、改めて日本の森への関心が高まりました。

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