森づくりフォーラム・ニュース

2023年1月21日

団体会員紹介(もりとくらしOKAYAMA)

森づくりフォーラム団体会員紹介
▶ もりとくらしOKAYAMA(岡山県岡山市)
  http://moritokurashi.net/

里山林における水路環境整備

 ふるさとの森や沢を大切に手入れして、美しい森とともに暮らす喜びを、多くの人と分かち合いたい。広葉樹を利用する山暮らし、山仕事の元気な笑顔を広げていきたい。
 またふたたび、地元の木を伐って暮らしに役立てる時が来ることを願って、私たちは里山の民家に近い山を保全整備する活動を続けています。

 長期的に人が心地よく暮らすためにも「多様な生き物が人の暮らしを元気にする!」をモットーに、自然のバランスを崩さない土地利用と、それを読み取るための観察を活動の基礎として、里山の雑木放置林の整備、保全、竹藪整備、作業道敷設、改修、山間部の環境改善、池掃除、農道草刈りなど、必要に応じて作業、アドバイス、講座開催などを行っています。

 

「大地の再生」の取り組み

 2015年、まだ山林の利用など全く考えてもいなかった時、大地は見えない地下部で、山から海までつながって呼吸していること、山の呼吸が止まれば海の水も淀み、海への川の河口部を塞げば山の保水が妨げられてしまうことを知り、その改善について学びました。
 それが私たちの原点となり「自然の呼吸を止めない土地利用」のための、大地の再生のコミュニティ活動がはじまりました。

 映画「杜人」でも知られるこの活動は全国に広がっており、通気性を取り戻す環境再生がますます注目を集めています。

持続的な環境づくりのための、竹林整備ワークショップ

 この活動を続ける中で、私たちの拠点である里山周辺では山際の放置林の荒廃が激しく、広葉樹山林所有者の方々は高齢化し、どうにもならない状況にあることを知りました。そのような過疎の山林は、開発計画が進み皆伐となる可能性も高まります。
 そこで、山林を整備できるスキルをもって環境保全に取り組み、山の恵みを長期的に利用循環するために、2019年任意団体「もりとくらしOKAYAMA」を立ち上げました。

山林所有者さん向け雑木林の森林整備講座で、森林に伏流する水路周辺の風通し作業を行い、荒れた竹藪が改善された場所。

 

「自伐型林業」への取り組み

 当団体のこれからの活動として、環境を傷めない小さな林業を始めるため、森林整備を実施しながら林業技術の養成実習を行いました。

 若い世代の関心を集めている自伐型林業は、できるだけ山に負担をかけない小規模で壊れない作業道づくりが特徴。コストをかけずに少人数で、皆伐せず森を育てることを主体とするスタイルです。

 広葉樹の森が雑木林と呼ばれ、役に立たない山を子孫に残したくないと考える所有者の方が多い現状の中、薪やホダ木の生産以外に、誰も考えなかったようなユニークな事業を展開できるのも広葉樹のメリットなのですが、初期投資がかかりすぎては担い手が現れません。

 市町村の協力を得ながら、作業道の敷設や山林整備、独自の素材利用を進め、副業として山林に関わる人が少しでも増えることを目指し、地元で担える小さな林業を試みていきます。

自伐型林業の壊れない作業道づくり

チッパー作業(広葉樹の森林整備による副産物が循環利用される可能性)

 5名のメンバーで、たった3ha弱の山林から始めた任意団体の活動ですが、昨年は土地改善に役立つ自然な造園資材などを、広葉樹から作り出す取り組みをはじめたところ、たくさんの需要があることがわかりました。 山林の所有者さんにとっても作業道の敷設や森林整備という大きなメリットがあり、私たちにとっても、技術の向上と収益の可能性、そして何より美しい森林の風景を観る喜びがあることが最大のメリットです。

 まだ始まったばかりでこれからも技術を習得しながらですが、自然を観察する目を養い、地域の方の理解を得ながら、今年はさらに環境を改善する資材づくりの他、新しいアイデアで楽しく活動を推進していきたいです。

林業研修

 

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 もりとくらしOKAYAMA

 〇所在地:岡山県岡山市北区粟井
 〇設立:2019年2月23日
 〇ホームページ:http://moritokurashi.net/
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