団体会員紹介(公益財団法人 肥後の水とみどりの愛護基金)
森づくりフォーラム団体会員紹介
▶ 公益財団法人 肥後の水とみどりの愛護基金(熊本県熊本市)
http://www.mizutomidori.jp/
熊本市は周辺住民約100万人が、飲料水を地下水で賄う日本随一の「地下水都市」です。その地下水の保全を当財団は主事業としています。
事業の柱は5本で、①「肥後の水とみどりの愛護賞」顕彰による環境保全活動の助成金事業、②DVD「水はみんなの命」などによる啓発事業、③森林の管理・運営事業、④農業・水田湛水事業、⑤肥後銀行本店の「肥後の里山ギャラリー」で文化事業を展開している団体です。
団体の成り立ち
故郷熊本のかけがえのない地下水を枯渇と汚染から守り子や孫に残そうと、1987年に創設された「肥後の水資源愛護賞」(現:肥後の水とみどりの愛護賞)による顕彰事業を、肥後銀行から引き継ぐ形で1992年に設立された財団です。
その後、環境問題が緑化推進に注力すべき段階を迎えたことから、2008年に「肥後の水とみどりの愛護基金」へ名称を変更、2010年に公益財団法人に移行、顕彰活動や啓発啓蒙活動に加えて森林の保全育成事業や水田湛水事業に取り組んでいます。2015年から肥後銀行が本店1階に開設した「肥後の里山ギャラリー」の運営も行なっています。
現在取り組んでいること
当財団は、阿蘇を主な活動フィールドとし、水資源涵養のために下記の活動を行っています。
■森林の保全・育成事業
2006年、阿蘇北外輪に肥後銀行が購入した「阿蘇大観の森」52haの管理運営を当財団が行っており、水源涵養林の保全育成事業(毎年、間伐・地拵え・植樹・下草刈りを実施)に取組み、広葉樹の苗木を植え、杉・ひのきの人工林の「針広混交林化」を図っています。
52haの植樹を2018年に完了したことから、阿蘇市から阿蘇大観の森に隣接する森林6.6haを当財団で購入し、14回目の今年は、1.1haの面積に3千本の植樹を行いました。
累計の植樹面積は53.1ha、植樹本数は約13万5千本 ボランティア参加者は、他企業との合同植樹参加者を含め延べ1万人を超えています。「阿蘇大観の森」における地下水の涵養量は1日2,549トンと算出しています。
今後は、熊本県森林組合連合会の計画に基づいて、計画的に森林の保全育成を進めて行くとともに、残る5.5haの面積に1万5千本の植樹を進めてまいります。
■農業・水田湛水事業
2011年、当財団が阿蘇市山田地区で25年あまり耕作放棄地(阿蘇市全体の耕作放棄地の約8%相当)となっていた土地を賃借して整備し、棚田として再生しました。
「阿蘇水掛の棚田」と命名し、水田による水源涵養を目的として、3.6haで毎年、田植え・稲刈りを実施しています。肥後銀行役職員や地元の協力者・子供達など、毎回700名程度がボランティアとして参加しています。2016年の熊本地震で被災した東海大学農学部の学生約100名には、農業実習の場として提供しています。
「阿蘇水掛の棚田米」は、減化学肥料での取組が評価され、2017年に熊本県から「地下水と土を育む農畜産物等認定証」の農産物部門第1号認定を受けました。冬田の水張りを含む8か月間で約538,000㎥の地下水を涵養しています。
このような内容が評価され、「阿蘇水掛の棚田」は、2017年に「第29回くまもと景観賞」、2018年に「くまもと景観賞30回記念大賞」を受賞しました。
■阿蘇草原再生のボランティア支援
九州の水がめと言われる阿蘇地域は、世界農業遺産及び世界ジオパークに認定されています。草原再生にボランティアとして参加するため、当財団の斡旋で、2015年から(公財)阿蘇グリーンストックが主催する輪地切り・野焼き講習会に肥後銀行役職員が参加しています。ボランティアの養成人員は累計で250名になりました。
今後の課題・展望
水資源の涵養(水量)に加えて、今後は「水質」に取組んで行く予定です。「湧水の水質調査」を定期的に行ない、データを蓄積していくと共に、湧水の近隣の小中学校にも協力の輪を拡げていく計画です。
また、2020年に熊本市で開催される「アジア・太平洋水サミット」に向けて2012年に制作した啓発DVD「水はみんなの命」のリニューアルを行ないます。
SDGsのゴールである2030年を見据えて、活動のフィールドを阿蘇だけではなく、「阿蘇から白川中流域、天草を含む有明海まで」活動範囲を拡げていきたいと考えているところです。
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公益財団法人 肥後の水とみどりの愛護基金
〇所在地:熊本市中央区紺屋今町1番23号
〇設立:1992年
〇ホームページ:http://www.mizutomidori.jp/
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