安全な森づくり活動のために
<事故事例に学ぶ>
『竹林での作業における事故』
今回は竹林での作業における事故事例を解説します。
近年里山の竹林で活動する団体が増えてきております。
ここ数年、竹林作業中の事故は減少傾向ですが、
一頃は事故件数の約2割を竹林での作業が占めていました。
以下に事故事例をご紹介いたします。
伐り倒された竹が、近くにいた他の作業者を直撃
①上部斜面で切り倒した竹が、下部で作業していた者の頭部ヘルメットを直撃。
バランスを崩して転倒し、突起物に当たって胸部打撲。外傷性気胸と判明し緊急手術。
②他の人が伐採した竹が頭部と右肩を直撃。頸椎のずれと右腕のしびれ。
③竹を伐採中に、他の作業員が伐った竹が頭を直撃。
④竹の伐採中に、他の者が伐った竹が頭を直撃。打撲・捻挫・切り傷・歯のぐらつき。
いずれも病院に行って診療を受けた事故です。
チェーンソーを使った伐木作業と較べて、安全管理が甘いと言わざるを得ません。
ヘルメット装着は必須
事故報告だけからは読み取れませんが、竹林での作業はヘルメットを被らずに行ってい
るケースもあるようです。ヘルメットを被っていても病院に行くケガになることもある
し、滑落して頭部を打撲することもあります。竹は軽いからと甘く見ずに、ヘルメット
装着は竹林での作業にあっても必須です。
また、竹林では狭い範囲で複数の人が作業する傾向があるようです。
少なくとも切り倒す竹の長さの範囲内では他の人は作業しないことが必要でしょう。
上記の事例をみると、竹を切り倒す際に、近くで作業する人に笛等で合図することを怠っているとも考えられます。
竹林での転倒・滑落事故
①竹を伐採していたところ、2m滑落し足の脛を打撲。
②チェーンソーで竹を伐採中に、倒れてきた竹を避けようとして転倒。竹の切り株で脇腹を強打し、腹部を骨折。
③ナタで伐採した竹の枝払いを行っていたところ、竹の枝で足を滑らせ、持っていたナタが左手指に当たり切り傷。5㎝の縫合。
④竹林内の斜面で足を滑らせ、竹の切り株に当たりながら滑落。肋骨にひびが入った。
⑤竹林内斜面で足を滑らし転倒。足が痛いので病院で診てもらったところ骨折していた。
上記の事例には、①竹を伐っていた人の転倒(①~②)と、②竹林内で滑って滑落(③~⑤)があります。竹林内、特に伐った竹や枝が斜面に垂直方向で寝ていると非常に滑りやすいとともに、竹の切り株があちこちにあるのが普通です。注意が必要です。
枝落としの際のケガ
①竹の枝をナタで落とす作業中に、ナタが左手指に当たり切り傷。
②切り倒した竹を左手で持ち、ノコギリで枝払い中に、左手親指の先端をノコギリで切る。
③竹を伐るために手で支えていたところ、鎌の刃先が左手に当たり、左手人差し指に切り傷。
竹の表面は滑りやすいことを念頭におく必要があります。
上記の事例は、いずれも左手がナタや鎌の刃先の方向にあり、左手の位置が基本から逸脱しています。竹の枝落としにナタや鎌を使うことも検討の必要があるでしょう。初心者の場合は、このような事故が起きやすいので、竹の枝落としはノコギリで行うことにするのも安全管理のうえで検討して良いと思います。
竹を倒す方向には要注意
以上の事例には出ていませんが、竹の伐倒方向には注意が必要です。
伐った竹の元が斜面の下方向にあると、伐った竹が斜面を滑って事故につながる怖れがあります。伐倒方向は、その後の枝落としや搬出方向を考えて決める必要がありますが、最低限、元を斜面の下方向に向けない配慮が必要でしょう。
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