森づくりフォーラム・ニュース

2021年9月12日

書評『多様性: 人と森のサスティナブルな関係』

書評『多様性: 人と森のサスティナブルな関係』
   ¥2,640 著者:池田憲昭、出版社:arch joint vison

 ドイツ・シュヴァルツヴァルトに在住し、森林、農業、木造建築、再生可能エネル
ギー、地域創生などをテーマに、長年日本とドイツをつなぐ活動を続けている著者が、
ドイツにおける「森林業」の展開と、日本の森林・林業への多角的な提案をまとめた一冊。

 ドイツでは1960年代後半、林業における大きな跳躍が起こったという。主に単一樹種で構成された「木の畑作」的な林業から、近自然的(樹種・樹齢構成が豊かで、階層構造が複雑である等)で、多面的機能を有する森林を造成・維持・活用する方法=「森林業」への推進に切り替わったのだ。

 「森林業」においては、多様な樹種で構成される森林が、多様な森林資源を生み出し、多様な人々が森林浴や狩猟といった活動を通じて森の恩恵を受けることが可能になる。これら多様な営みが人と自然との持続的な共生を可能にしていく。

 本書では様々な事例・観点からこの「森林業」の魅力を発信しながら、日本においても「森林業」の可能性が十分にあることを伝えている。「多様性を理解し、受け入れ、多様性を活用する」森林業の価値観が、日本の社会全体に浸透することを願ってやまない。

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記事:宮本 至(NPO法人森づくりフォーラム 事務局長)
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