人工林の多様性を高める森づくり
フォレスト21“さがみの森”
2020-2022実践レポート
生物的多様性だけでなく文化的多様性もふくめて、「多様性」という言葉は、現代社会のさまざまな場面においてキーワードとなっています。 「人工林の多様性を高める森づくり」。そのスタート地点は、市民団体として森づくりにかかわってきたなかでの危機感と期待です。
特に、同時期に植栽されたスギ・ヒノキ等の単一樹種の針葉樹人工林は、放置林をどのようにしていくか、どのような森にしていくかが課題となっています。
森づくりフォーラムはこれからの人工林における森づくりを考えるために、森林の維持・管理における世界的な潮流、人工林と森林生態に関する科学的な知見、実際の森づくりの事例をリサーチして、『人工林の多様性を高める森づくり事例ガイド』としてまとめました。
人工林管理における多様性を高める森づくりを、市民が主体的に参加し、実践することはできないでしょうか?
森づくりフォーラムでは1997年より市民が主体となって植林から計画し、現在も継続して森づくり活動を行っている「フォレスト21さがみの森」(神奈川相模原市,仙洞寺山国有林)を東京神奈川森林管理署とふれあい協定を結び運営しています。
本フィールドでは開始当初より多様な人々が参加し、皆伐地4.5haからスタートした森づくりでは、「針広混交林の森づくり」を目標に掲げていました。一方協定全体の面積は約20haあり、森林全体をいかにして多様性のある森にしていくかが、課題となっていました。
そこで『人工林の多様性を高める森づくり事例ガイド』に基づき、明確な方針の立っていなかった森林で、3か年の計画を立て、調査と施業を実践しました。本書はこの3か年の実践をレポートとしてまとめたものです。
このレポートが、森づくりを市民参加型で行うボランティア団体・NPOの皆様をはじめ、様々な立場で森づくりに関わる方々のご参考になれば、と願っています。
『人工林の多様性を高める森づくりフォレスト21“さがみの森”2020-2022実践レポート』
目次
はじめに
第1章 フィールドの基本情報と3か年の実践計画
1.フィールドの基本情報と背景
2.モデル実践計画とプロットエリアの策定
第2章 3か年のモニタリング調査(生き物・植物)と結果
1.施業後の調査プロットの整備・植生状況と今後の課題
フォレスト21さがみの森 連絡協議会 坂場光雄
2.2022年度の調査結果と3か年の調査のまとめ
里の生き物研究会 斉藤秀生
3.フォレスト21“さがみの森” フィールド視察レポート
山口県農林総合技術センター専門研究員 山田隆信
※「人工林の生物多様性を高める森づくりの普及啓発と市民参加型の施業モデル実践」 事業について
森づくりフォーラムは地球環境基金の助成を受けて、本事業を2020年4月から2023年3月にかけて実施しました。
2021年度からは、森づくりフォーラムの森づくりフィールドである「フォレスト21さがみの森」(神奈川県相模原市)にて、市民参加型の施業モデル実践を行っています。活動は月2回第2土曜・第4日曜の定例活動にて不定期的に行っています。