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2024年12月26日

「森づくりが、まちづくりで、人づくり」を目指して — NPO法人野外遊び喜び総合研究所 あばれんぼキャンプ

「森づくりが、まちづくりで、人づくり」を目指して
▶ NPO法人野外遊び喜び総合研究所 あばれんぼキャンプ
 (東京都府中市)

 あばれんぼキャンプ(特定非営利活動法人 野外遊び喜び総合研究所)は、子どもやその家族を対象に、さまざまな体験活動を提供するN P O法人(2003年認証)です。法人のミッションは『全ての子どもたちが走り回り輝く社会の実現!』と掲げ、自然体験を提供する技術を武器に、『子どもたちのとっておきの場!』を提供しています。年間30回程度のキャンプや行政・企業と協業するイベント事業、行政より学童クラブや児童館なども受託し、運営を行っています。

 

始まりは、50年前の「子ども会」

 あばれんぼキャンプは1973年に東京都府中市幸町にできた『幸町なかよし子ども会』から始まりました。第二次ベビーブーム真っ只中で、まさにオイルショックな年!歴史的に大きな転換点でもあったと思います。街には子どもが溢れていました。公立小学校は1100名の児童で、1クラス40名ぐらいでした。今日のような『テレビゲーム』はなく、遊びといえば近所の公園でドッチボールや三角ベース野球、ロク虫、ドロ警など、ガキ大将を中心とした公園ごとのグループで遊んでいました。そのグループが子ども会として始まっていきます。

子ども会運営方法が人づくり基礎部分

 1998年から活動を始めている私たちは、もともと子ども会であることが強みであり、専門家集団で物事を作ることだけではありません。そもそも子ども会とは「子ども自身が自分や友達のために、楽しい催しを考え、組織的な役割を持ち、協力しながら主体的に関わり作り上げていく」ことを目的にしていました。子ども自らガバナンスを持ち活動していたのが特徴でした。小学生が「子ども会」、中学生以上が「育成会」、子ども会がやってみたい、実現したいイベントなどを、育成会が支援するという形で運営されていました。小学生が一生懸命実現しようとしていることを、中学生以上がサポートして実現していく場所、それが子ども会だったのです。

思いがつながり森づくりへと発展

 私たちの取り組みの一つは、自由に走り回り、好きなことを好きなだけできる場所を作ることにあります。その一つは『冒険遊び場』です。
 そのとっておきの場所は、お世話になっている農家さんからお借りした東京都あきる野市菅生の4500坪の里山でした。コロナの影響で子どもの遊びまでも自粛させられ、遊び回る大切な時にまさに不自由な状況が生じました。子どもが安心して遊べる場所がない、都道府県を越境ができないなど、過剰に反応していたコロナ禍でお会いした農家さんにこの想いを伝えると、『あきる野市に30年ぐらい使ってない山があるからそこ草刈りして子どもの遊び場にすれば?』の一言から森づくりがすぐに始まりました。お借りする条件が草刈りと山の手入れだったこともあり、コロナ禍で当時学校生活に制限のあった高校生・大学生ボランティア、学生たちをサポートしながら自分たちも楽しみたい!という思いを持った社会人ボランティアとともにすぐに森づくりを始めました。

 あばれんぼキャンプは山梨県と福島県に専用フィールドを借りていますが、東京都内での活動は初めてでした。木が生い茂り、太陽の光も少なく薄暗い雑木林だった場所を、子どもたちがのびのび遊びまわれる場所を作りたい気持ちを持った、学生ボランティアや造園業者と共に、森林整備を毎月1〜2回行いました。初めての下草刈りや竹藪の伐採、専門の装備を着用した刈り払い機やチェーンソー、ナタやノコギリなど、さまざまな機材を使って森づくりを行いました。そして、現在では、広場のような空間が確保できて、冒険遊び場の活動を始めています。

A (危ない)K (汚い)U(うるさい)が許容される場所

 本来、子どもが思い切り遊びはしゃぎまわれる場所を社会公認で作っていこうと試みています。この場所の特徴は、『危ないから〇〇やってはいけません!』ではなく、そもそも『ここは危ない遊び場だから、そのつもりで楽しんで!』と、最初から“危ない場所”として、子どもが認識し過ごしています。ケガや痛いのが嫌な子どもたちは、おとなしくすることもなく、不思議とケガをせず思い切り遊び尽くしていきます。しかし、ケガというケガや大きな事故は起きたことはなく、普段よりも安全で楽しんでいます。
 そもそも、大人の考える『危険!』と子どもが感じている『危険!怖い!危ない!』には、大きなズレが存在しており、大人の先回り、勘違い、思い込みが逆に、子どもの主体的判断を歪めて、大きな事故を引き起こしているようにも感じています。

育ち合う環境を目指して

 この冒険遊び場の開催や準備を行う中「森づくりが、まちづくりで、人づくり」を目指して活動を広げようとしています。「里山の整備」で集まる人、「街の賑わいや暮らし」で集まる人、子ども支援で集まる人など、その中心には、子どもたちがしっかり育つ環境を「人と人」が作ろうとしています。育ち合う環境とは、多くの人や団体と関わり、森づくりに参画してくれる人々が増え「みんなの里山」として、より一層、この活動が広がっていくことを目指しています。

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 NPO法人 野外遊び喜び総合研究所
 あばれんぼキャンプ

 〇所在地:東京都府中市
 〇設立:2003年
 〇WEBサイト:https://abarenbo-camp.com
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