森づくりフォーラム・ニュース

2019年8月1日

【参加レポート】森林と市民を結ぶ全国の集い2019in静岡・掛川

✎イベント参加レポート
森林と市民を結ぶ全国の集い2019in静岡・掛川
 2019年6月15日-16

 『森林と市民を結ぶ全国の集い』は、森林づくりに関わる市民が一堂に会し、活動推進に当たっての情報交換を行うとともにそのネットワーク化を図ることを目的に、平成8年から毎年開催されているイベントです。東京とそれ以外の地域にて各年で開催しており、森づくりフォーラムは東京事務局を担当しています。

 第23回目となる今年は、~あなたの森林・里山との「関わりしろ」を考える~ というテーマで、静岡県の掛川市で開催されました。一般参加者として参加した森づくりフォーラム職員が、今回の集いの様子をレポートします!

◎当日のプログラムはこちら

◎この集いの事務局を担った「時ノ寿の森クラブ」の紹介はこちら

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1日目。
集合場所の掛川駅から会場まではマイクロバスを出していただき、30分ほどで今回の開催の拠点となる掛川市倉真地区へ到着。お天気はあいにくの雨でしたが、市街地からだんだんと里山の風景に変わっていく景色に、これから始まる集いに期待が高まりました。

会場の倉真小学校へ到着すると、地元のお茶や名産品の販売等もあり、すでにお祭りのような賑わい!続々と参加者が集まり、最終的には会場内はほぼ満員の状態でした。

冷えた深蒸し茶で出迎えてくださいました。

地元住民の方々による物産品販売。

組み立て式の木のジャングルジム!木の質感が最高でした。

 

1日目のプログラムは、森づくりフォーラムの代表理事でもある、哲学者の内山節氏の基調講演から始まりました。伝統社会において「森」とは何だったのかというお話から、人々が森とともに暮らしていくには、伝統や文化から学び、それを今に新しく生かし、森の価値を最大化する必要がある、といった問題提起を含む内容でした。ここ倉真地区で行う「全国の集い」の意味を確認する場となったのではないでしょうか。

基調講演(哲学者/NPO法人森づくりフォーラム代表理事 内山節氏)

講演とパネルディスカッションの間では、和太鼓演奏家の岡田寛行氏による、倉真太鼓の演奏がありました。迫力のあるパフォーマンスで、心に響く音でした。

 

続いてはパネルディスカッション。登壇された方々は、「地域」を軸に活動されているという共通点がありました。しかし、「地域」との関わり方は様々。倉真地区を元気に明るくする、地域と地元企業を結びつける、地域を世界に発信する、都心で働く人を地域へつなげる。地域を元気にする方法、また地域とつながる方法は本当に様々なんだと、改めて考えさせられました。

パネルディスカッション
コーディネーター:宮林茂幸氏(東京農業大学地域環境科学部地域創成科学科教授)
パネラー:杉村剛氏(ぴかっと倉真代表)、山本美鈴氏(㈱山本製作所専務取締役)、森川翔太氏(㈱ショータイム代表取締役)、中西実和氏(㈱森へ代表取締役)

プログラムの様子がイラストに!!

会場の倉真小学校体育館は、参加者でいっぱいでした。

 

プログラム終了後は小学校のすぐ隣の倉真地域生涯センターへ移動し、交流会のスタートです。今年の4月から掛川市で施行された「緑茶で乾杯条例」にならって、掛川の緑茶や緑茶割りで乾杯しました。

交流会の会場でまず目についたのは豪華なお料理。地元の方々のご協力で、天ぷらや焼き魚、とろろ汁やお茶しゃぶしゃぶなど、掛川の郷土料理が盛りだくさん。食べるもの食べるもの美味しく、参加者のみなさんとの会話も弾みました。

その日の夜は倉真温泉の落合壮さんに宿泊させていただき、倉真を隅々まで堪能させていただきました。

掛川倉真温泉 落合壮

そして2日目。
きれいな青空と雲に包まれ、絶好のエクスカーション日和となりました。

朝早く集合し、まずは森の中で朝ごはんをいただきました。地元のお母さん方の手料理のお味噌汁、お漬物、羽釜で炊いたご飯などの田舎飯。本当に美味しかったです。毎朝こんなスタートを切れたらとても豊かだなぁと感じました。

朝食の田舎飯。お米は特産倉真米!

朝食の前後には、2018年にリニューアルオープンした宿泊施設「B&B ゲストハウス森の駅」の中も見学させていただきました。周りは森に囲まれ、内装も木材をふんだんにつかい、自然をフルに感じることにできる、心地の良い空間でした。

左の階段を上がると、宿泊スペースがあります。

 

朝食を済ませた後は、5~6名のチームに分かれてワークショップ形式のエクスカーションの開始です。親子や学生などの参加も多く、1日目よりも幅広い年齢層の方の参加があったように思います。

まずは、時ノ寿の森のフィールド散策。時ノ寿の森には、森の生きものたちはもちろん、おもちゃ工房があったりヤギがいたり、森の中でゆっくりくつろげる場所や子どもが遊べるアスレチックスペースがあったり・・・様々な角度から森を100%楽しめる場所だと感じました。

子どもたちが遊べるアスレチックスペース。ここで森のようちえんが行われています。

森の中を流れる沢。太陽の光でキラキラ綺麗です。

時ノ寿の森のエントランス。暗いスギ林だった場所を伐採して明るくなった場所に、広葉樹の植樹を計画しているとのこと。

「時ノ巣の森クラブ」は、廃村により森林荒廃が進んでしまったことをきっかけに、2006年から活動をスタートしました。みんなの森の設計図である「時ノ寿の森 夢マップ」を作成し、これからの森の未来を見据えて、様々な事業を展開しています。

「時ノ寿の森 夢マップ」。現在はこの約70%が達成しているとのこと。

◎「時ノ寿の森クラブ」の詳しい紹介はこちらをご覧ください。

時ノ寿の森フィールド散策は、時ノ寿の森クラブ事務局の大石さんがガイドしてくださいました。

 

その後は、倉真地区の各所をめぐりました。古民家を活用したゲストハウス「まつんば」や地元のお母さんグループの農園、村祭りの屋台、そして茶畑にて茶摘みの様子も見学し、倉真地区の取り組みを、直接見て聞き体験することができました。

お里のゲストハウス まつんば」。水田と雑木林に囲まれた素晴らしい立地。3日目のオプショナルツアーに参加された方は、こちらに宿泊されました!

地元のお母さんグループの農園では、落花生の種まきをお手伝い。つるしてあるニンニク(写真上部)はその場で販売していただき、たくさんの方が購入されていました!

村祭りの屋台を見学、また希望者は実際に体験しました。村祭りは毎年10月に行われ、体験ツアーも実施されます。今回は特別に屋台を出していただいたとのこと!

茶畑では2番茶の刈り取りの様子を見学。2番茶の刈り取りの日は、1番茶を刈って45日目と決まっているそうです。倉真製茶㈱さんの取り組みなどのお話を伺いました。

とにかく里山の景観が素晴らしい倉真地区。そこに住む人の暮らし方は、その地域風土を活かし、矛盾のない自然なものでした。

倉真地区の風景

 

お昼ご飯を済ませたあとは(お昼の野良弁もこれまた美味しかったです!)、時ノ巣の森クラブの取り組みの紹介を受けてから、ワークショップを行いました。

『人と森林・里山の「関わりしろ」をどう広げ、続けていくのか』というテーマで、チーム内で今日の気づきや学びを共有しました。

その後は、今回の集いに関する14個のテーマが提示され、その中から好きなテーマを選び、集まった人と話し合い、模造紙にまとめるというワークショップを行いました。

ファシリテーター:天野浩史氏(NPO法人静岡フューチャーセンター・サポートネットESUNE代表理事)

「里山アートのこれから」

「子どもの関わりしろをどうつくる?」

「テクノロジー×里山のこれから」

この集いには、倉真地区の人、掛川市内の人、静岡県内の人、県外の人、本当に様々な場所から様々な立場の人が、「森林や里山、地域のことを考えたい」という共通の想いを持って集まっていました。

住む場所や立場によって、見えるものも気づくことも違ってくる。そのことを共有し考えることが、関わりしろを広げるための一歩なのだと感じました。

「森林と市民を結ぶ全国の集い2019in掛川・静岡」実行委員のみなさま

倉真地区がひとつとなって開催された今回の集い。実行委員の事務局となった時ノ寿の森クラブのメンバーを筆頭に、ひとりひとりの地域や森への想いがつながって、この集いが出来上がっているのだと感じました。

1日目の開会式は倉真小学校の児童による合唱で始まり、また会場内や道中で飾っていた倉真をPRするのぼりには、1枚1枚手書きの絵が書かれていました。このようなところからも、大人から子どもまで地域全部がこの集いに関わっていることが分かりました。

みなさんの倉真への愛が伝わってきます!

自然も暮らし方も「豊か」で、今の時代の地域のあり方のモデルともいえるこの倉真地区を、日本全国さらに世界へ発信し、関わりしろを広げ、つなげていきたいと強く思います。

その一端を森づくりフォーラムも協力し、「森とともに暮らす社会」に向けて行動していきたいと感じました。

 

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なんと今回の集いで、昨年森づくりフォーラムがJAMMINとコラボして販売したチャリティーアイテムを身に着けてくださっている方が、こんなにいらっしゃいました!!(内2名は事務局職員ですが。。)
本当に嬉しかったです。ありがとうございました!

 

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記事:石井 春花(NPO法人 森づくりフォーラム)
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